光のどけき 心も知らず 4


「うーん。そう言われてもなぁって感じだった。自分では仕上げて、持って行ったつもりだったんだから。仕方なく、自分で思いつく限り 描き加えて持って行ったんだけど。――あいつ。『なんだ、結局途中のままか』って言いやがったんだ」

「へ?」

 無意識だろうが段々低くなっていく声に、もしかしてヤバい話題振りましたか? と自問する。

 祐志は、たまに怖い。

 別に暴力的になる訳でも、特別酷い言動をする訳でもないが、その言葉使いやふとした時の動作が、中学の時は俺みたいな奴とは全然違 うグループだったんだろうな、と思わせた。

「だから。デッサンの仕上がりってどんななのかと思って。――お前は?」

「えぇ?」

 不意に話を振られて、動揺する。――そういや、自分から振った話題だった。

 そうそう、夕陽だ。

 俺は窓の方に視線を戻して、反射するオレンジ色の光に目を細めた。

 

 


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