幻の欠片8


  心の中で突っ込みながら笑った俺に、征志が冷たい視線を向ける。それでも、いつものような文句を言うつもりはないらしく、すぐに視線を逸らした。


  結局、孝亮の家の前に着くまで、征志は一言もしゃべらなかった。


 「じゃあな」


  俺の声も耳に入らないらしく、しばらく歩いてから、征志はぼんやりと振り返った。


 「…あ? ああ、……悪い。じゃあ……今夜な」

 

 


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