心の中 1


 

 救出した爆豪と共に来た緑谷達と、合流する。

 

 俺と目が合うと、爆豪は「ケッ」というように、口許を歪ませ顔を背けた。

 

「良かったですわ。爆豪さん」

 

 心配しました、と言う八百万に、ふてくされた顔のままでチラリとこちらを向く。

 

「全然問題なかったわ」

 

 礼なんて言わない。

 

 誰もがそれを爆豪らしいと思った。

 

 とにかく行こう、と歩き出した緑谷達について行きながら、爆豪の隣に並んだ。

 

「大丈夫か?」

 

 小声で訊いた俺に、「あァ?」と目を向ける。

 

 黙って見返すと、一瞬俺を睨んだ瞳が、まっすぐ前へと向けられた。

 

「話しかけんな。大丈夫だわ。心配すんなら、クソデクの方したれや」

 

 爆豪の瞳は、睨むように緑谷の背中を追っていた。

 

「……泣いてたか? 緑谷」

 

 顔を見た瞬間、すぐに判った。

 

 緑谷の目は、めちゃくちゃ泣いたのだと判る程、真っ赤に腫れていた。

 

「死ぬほど泣いてたわ」

 

「そうだろうな」

 

「……俺は、泣いてねぇ」

 

 判ってる、と答える。

 

「だから、心配してんだ」

 

 ワンテンポ遅れて、爆豪が反応した。

 

「あァ?」

 

 怪訝そうな顔で俺を見て、「イミ解んねぇコト言ってんな」と視線を逸らせる。

 

 オールマイトがああなったのを、自分のせいだと思わない訳がない。

 

 それが原因でめちゃくちゃに泣いている緑谷を見て、平気な訳がない。