声に反応するように、辺りにカッと閃光が走る。
『ガッ! ギャアァ!』
異様な叫び声をあげて、鬼が撥ね返された。トラックの上で蹲(うずくま)る鬼を囲むようにして、四本の光の柱が空に向かってそびえ立っている。
「ご苦労さん。お陰で閉じ込めれたよ」
いつの間に現れたのか、俺達の前に、一人の男が立ちはだかっていた。
「まあ、ゆっくり休んでてくれ」
鬼に向かって踏ん張ったまま、振り返りもせずに言う。
「あいつは昼間の……。なんで、あいつがいるんだ?」
俺の問いを無視して、孝亮はジッと上宮の背中を凝視している。
上宮は人差し指と中指の二本を立てると、それを眉間へとあてた。
「東海の神、名は阿明(あめい)!」
呪文のように叫んで、四本ある光のうちの一つを、二本の指で指し示す。するとその柱は輝きを増し、風が渦を巻いた。
「西海の神、名は祝良(しゅくりょう)。南海の神、名は巨乗(きょじょう)。北海の神、名は愚強(ぐきょう)」
先程と同じように、一つ神の名を口にするたびに、一つ一つ柱を指していく。その度に柱は光を増し、鬼は苦しみを強くしていった。
上宮は、パンッ! と顔の前で手を合わすと、その手を胸の前へと持っていった。