かっちゃん僕はッ、君を応援したいんだッ!! 1


 

 かっちゃんは、良くも悪くもいつも受け身で。

 

 自分からは、誰かを求めたりなんかしなくて。

 

 

 

 それは一人でも完璧に見える彼には、当然の事だったのかもしれない。

 

 それでも決して、「性格が良い」とは言えない彼の周りには、何故だかいつでも人が集まっていく。

 

 

 

 受け身なかっちゃんが、そうなくなる『唯一』の相手が僕で。

 

 侮蔑と、嫌悪感と。

 

 見下す赤い瞳は、決して羨ましがられるようなものではなかったけれど。

 

 それでも彼から『特別』を得ていた僕は――「かっちゃん」と、今でも呼ばせてもらえる僕は、少しの寂しさと、優越感とを……覚えていたんだ。

 

 だけど――。

 

 

 

「敵わねえんじゃって、思っちまった……!!」

 

「宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ」

 

 

 

 ――「俺を見ろ」と。

 

 

 

 彼が初めて、『執着』を見せた。

 

 

 才能溢れる彼があんなにもがむしゃらに、必死に、誰かを求めたのは初めてで。

 

 僕は頭では処理しきれない程の衝撃を、覚えずにはいられなかったんだ。

 

 

 

 むず痒いような、チリリとした、不快な胸の痛みを抱えながら。

 

 あれから僕は、かっちゃんと轟くんを見ていた。