光のどけき 心も知らず 3


「そーそー。ってか、眩しいわッ!」

 顔を戻した俺は、夕陽の光を受ける窓に突っ込んだ。窓のサッシも蛇口も、全てオレンジ色に反射して、俺を攻撃してきている。

 そして、ふと思い立った。

「なぁ祐志」

「ん?」

「お前なんで、美術部入ろうと思ったの?」

 俺の突然の台詞にきょとんと首を傾げる。しばらくそうした後、「ああ、ええっとなぁ」と思い出したように話しだした。

「お前、最初の美術での課題、憶えてる?」

「――え? なんだっけ?」

「自分の利き腕じゃない方の手を描くってヤツ」

 ああ、そう言えばあったな。今にして思えば、バランスもへったくれもない、どーしようもないデッサンだったけど……。

「俺、最初学校休みがちだったから、美術の授業もほとんど出てなくて、1人で後から提出しに行ったんだよ。そしたら大城が『せっかく 上手く描けてるのに、途中で受け取るのはもったいない。一週間期限を延ばすから、仕上げておいで』って、そう言ったんだ」

「ふ~ん。――で?」

 1週間後に出したデッサンが凄い評価受けたとか?

 

 


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