オリジナルBL小説

光のどけき しづこころなく9


 少しばかり不気味だ。

 

 公園の前まで来ると、「なあ、祐志」と声をかけてきた。

 

「なんだ?」

 

「アレ、見てみ」

 

「……!」

 

 弘人が指差した1点に、目が釘付けになる。

 

 指の先にあるのは、この公園の隅に植えられた1本の桜の樹。偶然にも隣に立っている外灯に照らされて、あたかもライトアップされているかのようだ。

 

 横に広がった枝には、ほぼ満開に桜が咲いている。

 

 言っちゃ悪いが、こんな小さな公園には勿体ない程の立派さ。

 

「……へぇ……」

 

 小さく感嘆の声を洩らして、隣からの弘人の視線に気がついた。ふと目を向けると、弘人が笑顔のまま、驚いたように目を見開く。

 

「……んだよ」

 

「いや。びっ……くりしたぁ……。急にこっち見んだもん」

 

「お前がこっち見てるからだろ」

 

「あ。そっか」

 

 苦笑するように顔をしかめると、弘人は公園へと足を踏み入れた。奥のベンチへと腰を降ろして、俺を見上げる。

 

「ほら。ここならよく見える」

 

 桜を指差しながら上機嫌で言う弘人を、俺は少々呆れた目で見下ろした。

 

「で? なんだよ、話って?」

 




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■作品説明

僕が好きになったのは、姉さんが愛した男性。

社会人×高校生。健全。

たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。

裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。

 

姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。

 

税込価格160円です。

ご興味をお持ちいただけましたら、よろしくお願い致します!

 

■発売ページ

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