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オリジナルBL小説 『日常』 心も知らず 11


オリジナルBL小説 日常 『光のどけき 心も知らず11』(クリックで本文)公開しました。

 

高校生2人のゆるいBLです。 

春休み。美術室から見る夕陽に、弘人はある『眩しい光景』を思い出す。

 

 

 

光のどけき 心も知らず 11(本文より)

 

 グッと手を握って頬を膨らませた俺に、祐志はクスクスと笑いだした。

 

「センセー。織田君がイジめます~」

 

「イジめてんのはお前だ!」

 

 俺達のやり取りに大城が「あはは」と笑いを零す。

 

「じゃ、鍵頼むね」

 

 そう言って、少し急いでるのか、大城は腕時計を確認しながら出て行った。

 

 沈黙が訪れた美術室に、祐志の道具を片付ける音だけが響く。何もする事がない俺は、先程よりも勢いを失った夕暮れを見つめていた。

 

 さっきまでは、あんなに綺麗だったのに……。

 

 薄暗くなっていく風景がなんだかつまんなくて、俺は無意識に視線を床に落としていた。

 

 自分の足のつま先を上げたり下げたりしながら、只その動きをぼんやりと眺める。

 

「面白いのか? それ」

 

 洗い場で手を洗いながら、祐志が声をかけてくる。

 

「別に……」

 

「なら。帰ろうぜ」

 

 言った祐志に「おー」と応じて鞄を持ち上げる。鍵を持ってドアへと向かった祐志に付いて、廊下へ出た。

 

 廊下は美術室よりもっと薄暗くて、さらに俺の気分を滅入らせた。

 

 

 さっきまでの楽しかった気分が嘘のようだ。

 

 

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